ヘアスタイリング剤の歴史と進化について
近年ヘアケア剤の進化により、ワックスやシャンプーの製品が巷にあふれるようになり、ファッショナブルなヘアスタイルが実現できるようになり、髪型のお洒落はとても身近なものになりました。毛先の動きや髪の明るさなど多様なヘアスタイルと共に欧米人のようなヘアスタイルも再現できるようになってきたのです。
古来から現代まで、ヘアスタイルとスタイリング剤はどのように変化していったのでしょうか。古来からヘアケア習慣と髪型は密接に関係しています。
例えば、飛鳥・奈良時代は垂髪や結髪などの束ねたヘアスタイルが一般的で、食用油や五味が用いられてきました。それが平安時代になると、貴族階級の宮廷女性にとっては「すべらかし」と呼ばれる、身の丈よりも長いロングヘアが美人の証となり、毎日の櫛通しが習慣となったのです。この櫛通しに用いられたのが、米のとぎ汁=「ゆする」といわれるもので、櫛にゆするをつけて髪を梳ることで、清潔にするとともにツヤのある黒髪を保っていたのです。ちなみにこの頃から頭を洗うという習慣も生まれました。それでも今の時代のように1日や2日に1回というのではなく、1年に1回宮中行事(御髪すまし)で洗うのみですから、庶民はもちろん未だに洗髪という習慣はありませんでした。ところでこのような米のとぎ汁には髪によいタンパク質や脂質・糖質などが含まれていて、そのため髪に潤いを与えしっとした感じを持続させる効果もあったようです。
さらに江戸時代になると、結髪技術が向上して、ツヤを出しながら形を保つ効果のある鬢付油=モクロウ、すき油、クルミ油、茶油、椿油、伽羅油など、油の精製技術と共にスタイリング剤も油が中心に選ばれるようになったのです。そして形をキープする、つまりヘアスタイルを持続させるようになったため、洗髪の必要性がでてきました。そこで月に1~2回髪の油を落とすため灰汁、木炭、ふのり、うどん粉が用いられるようになったのです。
そして明治・大正になると、西洋文化が流れ込み、和装と洋装に合う髪型へと変化してきました。西洋風のヘアスタイルはこの頃から取り入れられるようになったのです。西洋風のリーゼントや巻き上げなどにはさらっとした油よりも、よりホールド力のあるチックや植物性ポマードが必要となりました。この頃には髪を洗うために石鹸が用いられるようになったのです。
そうして現代、髪のショート化、パーマ・カラーリングの習慣、女性の社会進出とともにヘアスタイルも様々となり、進化したシャンプー剤、ヘアスプレー、フォーム剤、ワックス、クリーム、ウォータージェルなど各種様々な製品が身近に溢れるようになったのです。